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NPO法人 練馬家族会 :: 平成16年度 下期勉強会 報告
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■ 平成16年度 下期勉強会 報告

2004年10月22日(金)13:30〜16:30 サンライフ練馬 会議室
講 師:全家連相談室 相談員 佐藤 智子氏         
テーマ:社会資源の利用と活用についてー障害年金についてー

司会の下、家族会からの諸連絡の後、会長からの挨拶があり、その後、本日の講師、佐藤智子氏による勉強会に入る。

●自己紹介
都内の民間精神病院にソーシャルワーカーとして勤務後、1996年より全家連電話相談室に非常勤相談員として勤務している。また、生活支援センターのソーシャルワーカー、保健センターデイケアのグループワーカーとしても仕事をされている、と話される。
精神保健福祉の分野ではエキスパートとも言える佐藤氏である。予め用意された、本日の勉強会レジュメも分かりやすくまとめられ、家族会にとって大切な資料が、また一つ増えたようだ。

●全家連電話相談の実態について
家族会会員は全家連誌は購読してはいるが、電話相談のことは、ブラックボックスとも思えることがしばしばある。例えば、相談室へ電話をしてもなかなかつながらないのはなぜか?佐藤氏は、その事情を忌憚なく話してくれた。
電話相談は年間4,000件ほどあり、それを電話3台で受け持っている。短くて30分、長い場合は1時間で、それ以上になることもある。相談の内容は多岐に及んでいるが、その中でも、経済的支援や所得保障、特に障害年金制度についての相談は多いということである。

●練馬家族会の現状
佐藤氏から、質問が出された。当日参加者で、障害年金を受けている人の挙手をお願いされる。当日参加者19名中、障害年金受給者は8名(内訳:厚生年金1名・国民年金7名)あり、国民年金7名の内6名が無拠出制年金を受給している。また、今後、障害年金を受給させたいと考えている人の挙手は6名あった。障害を負った当事者への経済的な支援を、先ず、障害年金に求め、そこから、自立への道を考えていこうとする家族の気持ちが察せられる。

●障害年金とは
レジュメに沿って、講義が始まる。先ず、障害年金とはどういった制度かということを、簡単に解説された。それは、60歳になるまでに障害を負った場合、老齢年金の受給を待たずに早くもらえる制度と考えてもらうと分かりやすい、と話される。また、この制度は、主体的に利用する制度であるため、自ずからこの制度を知り、学び、そして行動することでサービスを受給できるということである。
家族会メンバーの中にも、社会資源を有効に活用できていない会員が多いようだが、当事者の自立支援のためには、真っ先に、家族が学ぶことが必要だと痛感させられる。

●年金制度の仕組み
1991年4月以降、20歳から59歳までの人は公的年金に強制加入と制度が改められた。公的年金には、国民年金・厚生年金・共済年金の3種類があり、その内、国民年金は基礎年金(すべての人が共通に加入するもの)とし、厚生・共済年金加入者は、各々の年金と国民年金に、二重加入する、いわゆる2階建ての年金制度となっている。
65歳から受給できる老齢基礎年金はこの国民年金からの支給となり、老齢厚生年金はそれに上乗せされる公的年金となる。また、受給資格期間は25年以上必要で、例えば、20歳で年金制度に加入した場合、最低45歳まで保険料を納付しないと、受給資格が無いということになる。
何度も頷きながら講義を聞いている自分に気がつき、私自身が年金制度につい理解していない部分が多かったようで、改めて勉強させてもらう。
障害年金を受給するための条件
年金制度を拠り所としながら、3つの条件が必要であり、それを受給3要件として提示される。

①加入要件
②納付要件
③障害状態要件

各々の条件については、以下のようになると話される。

加入要件として、初診時の公的年金加入状況である2項目
・精神症状による初診日が確定できること。それが、必ずしも精神科でなくてはならないとは限定されていない。
・初診日の時点で、公的年金に加入していること。

納付要件として、初診日までの保険料納付状況である2項目
・20歳以降に初診日がある場合(拠出制年金制度)
わかりにくい要件ということで、例を出されて解説される。
例えば、23歳と3ヶ月が初診日で、その人が5月に精神科を受診していた場合、前々月の3月分まで、加入しなければならない期間の3分の2以上の保険料が納付(または免除)されていることが条件。これを3分の2要件という。もし、この要件を満たしていないということで、初診日以降に保険料を納付しても、年金納付期間が要件に外れているため、無駄になる。
・20歳以前に初診日がある場合(無拠出制年金)は、保険料納付の条件は無い。

障害状態要件として、現在の障害の状態である2項目
・病名が該当する。
・障害の状態にあること。

●障害認定基準の改正について
2002年4月より一部改正されている。特徴として記入部分が多く、より具体的に記述することが求められている、と話される。3項目について、具体的に解説される。
①障害の状態を具体的に記入
1級 精神症状のため、常時の介護が必要(病気の症状が重い)。
2級 精神症状のため、日常生活が著しい制限を受ける(作業所通所や家事くらいはできる)。
3級 労働が制限を受ける(通常の労働作業はできない)。

②日常生活の判定のため、日常生活上の障害をより詳細に記入する
判定項目が増えた(金銭管理・買物・服薬・通院等)。
精神科援助と身体介護・保護を分けて考える。
当事者の一人暮らしを想定する。

③生活支援の状況を記入する項目が、新しく設けられた。これについての記入の注意として、どんな生活をしているか、事実をありのままに記入することが大切だと助言される。
生活支援センター、グループホーム、作業所等の利用状況や期間。
在宅支援(ホームヘルプや訪問看護等)の利用状況。
手続き(裁定請求)の方法
①申請窓口は初診日に加入していた制度によって、上の表のようになると話される。また、請求に必要な書類については、重要と思われる事項を強調されたため、今後、障害年金の請求をされる方には参考になったようだ。
②請求に必要な書類
裁定請求書 役所に提出する。
年金診断書 医師が記入するもので、裁定のためには一番重要な書類。障害状態要件も記入されるため、今の状態だけではなく、生活や就労の面で困っていることを医師に伝えておくことが特に必要。
病歴・就労状況等申立書 家族と本人が具体的に記入する。医師が記入する年金診断書との整合性を持たせることが大切。
初診日を証明する書類 納付要件として必要。
戸籍謄本や住民票

1時間ほどで、講義は終了する。短い時間にも関わらず、充実した講義内容になった。障害年金の手続きでは苦労された会員も多かったようで、本日のような勉強会をもっと早く開催してもらえれば、何度も、申請窓口に足を運ばなくても済んだはず、という声も聞かれた。


10月22日の下期勉強会の講演後、精神障害者の障害年金について、参加者と講師の全家連相談室相談員佐藤智子氏の間で質疑応答がありましたので、まとめてみました。

[Q]既年金取得者のその後の年金保険料をどう考えるか?
[A]保険料を払うことができない人のために、国民年金では免除制度がある。免除と言う意味は、「保険料を払わなくても良いが、貰う権利はある」と言うことだ。障害年金を受ける時には、免除期間は払っているのと同等の意味になる。但し、老齢年金の時には、免除期間中に払っていないと、その間は1/3の金額査定になる。免除制度は次の3つがある。
①法定免除:法律で定められている。障害基礎年金(1、2級)を受給している人や生活保護の生活扶助を受けている人。
②申請免除:収入が少なく、保険料を納められない場合、市役所の国民年金課で免除申請手続きをし、認められると免除される。査定基準が厳しくなっている。(所得に応じて全額免除と、半額免除がある。)
③学生納付特例制度:20歳以上の学生が申請して認められれば、学生期間中は保険料納付を要しない。(但し、10年以内に追納しなければ老齢基礎年金の金額には反映されない)
例えば、2級の人で障害年金を受けている人は、基本的には法定免除であるから保険料を払わないとすると、老齢年金の跳ね返りは少なくなる。障害年金を受けたまま65歳の老齢年金を貰える年齢になると、日本の法律では一人一年金であるから金額の高い方を一つ選ぶことができる。将来どう変わるか分からないが、余力があれば老齢年金保険料を掛けておいた方が良いかも知れない。

[Q]38歳、手帳2級、障害年金は受けていない。4年前から国民年金を払っているが、無意味か?
[A]20歳前の初診が取れるかどうか分らないとすると、将来、障害年金に該当しない場合は、老齢年金を受けるしかない。60歳まで掛けると、26年掛けることになり、25年以上になるので間に合う。

[Q]障害年金の等級について伺いたい。
[A]身体障害の等級は生涯そのままであるが、精神障害の場合は症状が変化するため、最初の申請で2級だが、この後、現況届を期間ごとに提出し、チェックを重ねていく。提出の間隔は、診断書の内容により毎年の人、2年毎の人、5年毎の人とあり、傾向として1年毎が増えている。大体1〜2年毎が多く、5年毎以上の人は少なくなっている。
地域で暮している人は大体1〜2級の人で、最初に主治医に書いてもらった診断書とほとんど同じ内容の現況届を毎年書き続け、その度毎に審査をしてもらい、この後1年間何級でよいかと言うことになる。そこでどのように書かれているかが決め手になる。
障害年金は元来、障害を「不変なもので、将来に渡って働けないもの」とは見なしていないので、障害年金を貰っていても仕事に就くことは可能としている。
現況届を提出する時に、日頃から主治医に本人の状態が上手く伝わっているかどうかが、診断書内容のポイントになる。
外来に本人1人で行き、主治医「どう?」、本人「元気にやっています!」、主治医「良かったね!」の会話を続けていると、いざ現況を書いてもらう時、実はこんなことがあった、あんなことがあったと言っても主治医は書き難い。普段の生活の場面で辛かったり、上手くいかなかったことを主治医にキチンと伝えておくことや、1年間を見渡して不安定な時の状況を纏めて主治医に伝えることが重要。2年前の診断書改定の時、主治医が本人尊重のマル付けをすることがあり、2級から3級になったりすることがある。本人が1人で外来に行っている時でも、数ヶ月に一度は家族が主治医と会って状況を詳しく話すことが必要。
年金を申請する時は1人でやらないこと。病院のソーシャルワーカー、保健所の保健師、相談員等々の専門家に声を掛けてみる。いきなり国民年金課の窓口に行かないように。孤軍奮闘しないことが何よりだ。

[Q]認定障害の基準とはどのような状態を言うのか?
[A]初回認定の時は状態が良くなく、障害の2級程度には該当している、などと書くことが多いと思うが、現況届の場合は色々な波の中で症状が出るので、その前後の状態を十分考慮して書いてもらう必要がある。安定、不安定もあるとの前提で、1年の流れの中で掴んで早めに主治医に伝えておくことが必要。

[Q]厚生年金を2年払ったが国民年金は払っていない。発病は26歳、この場合はどうか?
[A]条件設定を整理すると、20歳 学生だった→23歳で卒業、就職し厚生年金に加入→6ヶ月で退職、国民年金は払っていない。初診が関係するのは、初診より前に年金加入している厚生年金だけ。20〜26歳は掛けなければならない期間。この内2/3以上の納付か免除が無ければ、障害年金の申請にはならない。6年間の内6ヶ月では少ない。
原則論の他に、救済処置もある。昭和36年生まれだと20歳の時は1981年になる。実は、学生が年金強制加入になったのは1991年4月で、これ以前は任意加入だった。任意加入中は、自分で年金を掛けるか掛けないか選択をして良い時だった。1981年当時、学生で国民年金を掛けていた人は僅か7%だった。これが元で、現在の無年金障害者の裁判になっている。これを救済するために、1991年4月以前の任意加入時期に学生だった人は、この期間を納めなければならない期間から抜きましょうと言うもの。そのためには、在籍証明書を取り提出する。20〜26歳の6年余の内、学生であったことを証明すると3年余となる。この内、厚生年金または国民年金を掛けている期間が2/3以上超えていれば良いことにするという方針がある。この質問の場合は、2/3を満たさない可能性が高いが、このような救済措置もあることを知っておいて欲しい。

[Q]初診の取り方について聞きたい。
[A]次のように、状況によって違う。
掛かり付け医師がいなくなった場合。→他の先生でも、カルテが残っていて証明されれば問題ない。
カルテがない場合。→入院した場合は、長期に保存している事が多い。または、一つの手掛かりとして、診察券が残っていて日付が入っていると、これを病院に持参して作成してもらう。病院では診療日誌をつけているケースもあり、初診の場合、氏名を記載しているので、これを基に書いてもらう。病院の相談員に聞く方法もある。
初診が医療機関でない場合。→学校の保健室の先生、教育相談室等も良い。家族の判断だけでは駄目で、何らかの形で医療との関わりが必要。

[Q]学生の時、国民年金に任意加入し、現在も掛けているが、障害年金は受けられるだろうか?
[A]20歳以前のもので初診が取れれば問題ない。本人が納得した形で障害年金を受け、将来のために備えた方が良い。

[Q]障害者手帳と障害年金は関わりがあるのか?例えば手帳で2級でも障害年金はもらえないのか?
[A]障害者手帳は1、2、3級あり、基本的には障害年金の1、2、3級と合っているが、障害年金は病名の制約がある。
すなわち、神経症、人格障害等は年金の対象とはならない。ただし、臨床症状が精神病の状態を示しているものについては統合失調症、うつ病に準じて取り扱われる。人格障害では、いくら重くても認証されない。障害年金は統合失調症、うつ病等に病名が限られているが、障害者手帳は等級の区切りは同じでも、広い病名で拾っている。
障害年金で1、2、3級を受けている人は、特に手帳の診断書を書いてもらわなくても、年金の証書を持参すればその等級は出る。年金で2級取れているのに手帳で3級となっていることもあるので注意すること。

[Q]病状が「何でも全てできる」に丸が付いている人の場合は?
[A]次のような状況によって違う。

その人が一人暮らしをした時、同じようにできるのか。
表面的には元気そうに見えても、色々な場面でどんなことが起きるかを一つ一つ洗い出して、どう書面にしたためてもらうか。何でもできる人は2級該当ではないと思われる。

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