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NPO法人 練馬家族会 :: NPO法人POTA主催 精神障害者自立支援センター設立記念講演会 報告
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■ NPO法人POTA主催 精神障害者自立支援センター設立記念講演会 報告

2005年7月17日(日)13:00〜17:00
練馬区役所地下アトリウム

●参加報告
大安吉日を選んで船出の日としたのでしょうか、この日、POTA(精神科作業療法協会)は新しくNPO法人として生まれ変わったことを宣言し、この10月に予定されている精神障害者自立支援センターの設立を記念して、この講演会が行われました。また、NPO法人練馬家族会として初めての記念すべき後援催事でもありました。
この日の式次第は、第1部:来賓挨拶と社会復帰を目指す当事者の体験発表、第2部:ロビーでの参加者茶話会、第3部:精神障害者の就労についての講演、と盛りだくさんでした。第1部では、当会より佐藤副理事長が祝辞を述べさせていただいた他、行政や地域の来賓からも暖かいお言葉がありました。時節柄、来賓諸氏は障害者支援法の動向をスピーチに加えていましたが、支援法について、行政側と民間福祉団体の間に温度差があるのは明らかでした。
今、まさに社会復帰せんとしている当事者2名が司会やサポータのガイドで立派な体験発表を行なっていたことは、同じ障害を持つ家族にとって、希望への一助になったと思います。彼らの今後を期待しながら、満場の拍手、あるいは無言のエールが会場を埋め尽くし、第1部が終わりました。
第2部は、飲み物や区内の作業所で生産されたお菓子が振る舞われ、ロビーで懇親会が行われました。この手の行事では目新しい企画だと思います。良い試みでした。
当日のメインである第3部の講演は、講師である秦政氏が、構成・内容共にプロフェッショナルなプレゼンテーションを行ないました。新卒の新社会人が新人研修で聞くのとほぼ同じ内容で、社会では当たり前のことを述べているだけと、筆者は感じましたが、当事者を抱える家族や、新卒で就職し、企業経験の無い福祉従事者にとっては目から鱗の内容であったかもしれません。
講演内容について詳しく書きませんが、この不景気の中、実際の就労(というよりも就職)について必要なスキルと心構えについて述べられ、素晴らしいプレゼンテーションをされたと思います。しかしながら、筆者は、次に述べるような問題点を講演の内容に感じました。

●講演内容に対しての疑問
今後の国の福祉予算縮小に対して、日本経済の現実的な視点で、講師はお話しされていましたが、逆に、当会や他の福祉団体は福祉充実を国や行政に対して問い掛けていく立場であり、この視点の違いは、講演の位置づけを曖昧なものにしたかもしれないことが残念でなりません。
講師は60歳を過ぎた方なので当然ですが、「労働の喜び」というものを前面に出して話しをされていました。しかしながら、団塊の世代よりも後の世代は、労働に喜びを感じる人は少なく、筆者に限らず、できるだけ働かずに楽に暮らしたいというのが本音でしょう。多くの当事者の世代もこれに該当します。就労こそ人間の生きる価値という考え方は、前時代的な間違った倫理観と言えます。海外では、就労だけではなく、芸術などを人生の杖にすることも、障害者の社会参加として評価されていますので、就労が難しい人には他の社会参加の道があることを、講演で訴えて欲しかったです。
精神障害の症状を知っていれば分かるはずですが、継続的な就労が難しいことを講師は理解していないようでした。これについてワークシェアリングなどの言及が無かったことにも講師の理解の浅さを感じます。
また、筆者がそうであるように、健常者であっても、就職せずに在宅ワークで生計を立てること(SOHO)が現在では珍しくありませんし、社会的には今後ますますその傾向が強まるでしょう。現在の在宅ワークはIT関連であることが多く、障害者が職を得るチャンスでもあります。就職させるのではなく、受発注のマネージメントシステムの確立について、講師は言及すべきでした。
以上、企業側の視点としては立派な講演でしたが、精神障害者に対する講師のピントは、いささか時代遅れの感がありました。現実的な方法論を述べるためには、現場に下ってこの病気のことを知っていただかなければならないでしょう。
時間より少し早く講演が終了し、POTA就労支援事業部・馬場さんの閉会の挨拶で記念講演会はお開きとなりました。  

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