■ 千円のお礼
梅雨も明け、久しぶりに嬉しいことがありました。
息子、38歳の誕生日をお祝いした翌日のことです。作業所で初めてのお給料10,850円をいただいてきました。親子で何度も明細書を見ながら「良かったね」「思ったより多かったね」と誉めてやったら、「おふくろに御礼」といって千円をくれたのです。
「えっ?ありがとう!」と絶句・・何にも増して嬉しくありがたい千円ですし、とても使えない宝物になりました。たかが千円されど千円。金額よりも、感謝の気持ちが残っていたことがとても嬉しくて、働く喜びを忘れないでいて欲しい、と思いました。
いつもの朝の挨拶は、「おはよう。気分は?」「うん」。何の変哲もない会話でも、しっかり食事をとり、眠い目をショボつかせながら作業所へ出掛けます。
週2回、月曜と水曜に作業所に通い出して1ヶ月余り。9時20分の気分調べに間に合うようにと、目覚ましで7時に起きて、8時半には家を出て行きます。玄関先で「100パーセント頑張らなくてもいいのよ」「無理しないでね」と言って送り出し、何となくホッとする瞬間でもありました。
思えば、4月中旬に「何か仕事をした方がいいのかなぁ」と保健所の担当の人に相談し、作業所を紹介していただき、見学もして、自分で決めたのが5月末でした。大丈夫かな、と内心は不安でしたが、順調に過ぎて少し自信もついてきたように思われます。途中で薬を変えたり、減らしたりしながら、「チョットだけ我慢して、とにかく1日様子をみよう」「どうしても辛かったら主治医に相談して、また考えれば良い」と、そんな毎日を積み重ねてきました。
限られた時間を自分なりに働くことができた満足感と、理解してもらいながら、不安なく作業をさせていただく喜びも知り、初めていただいたお給料はとても嬉しかったようです。少しずつ、ゆっくり体調を整え、就労に向けて一歩を踏み出しました。自己管理をしながら、あせらず続けていけば、希望も持てるのではないかと思うこの頃です。 (会員N.S.)
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