■ 生活支援センター「きらら」主催勉強会 参加報告
テーマ:「障害者自立支援法案について」
2005年5月24日(火)14:00〜16:00 練馬区役所19階1903号室
講師:熊谷直樹氏(東京都立中部総合精神保健福祉センター精神科医師)
先ず、生活支援センター「きらら」の林所長から挨拶があり、続いて熊谷先生の講演に入りました。
中部総合精神保健福祉センター(以下中部センター)を知っている方?というはじめの質問に挙手が意外に少なかったこともあり、改めて中部センターの紹介から始まりました。
センターは都立松沢病院の敷地内にあり東京都23区のうち10区(練馬、中野、杉並、新宿、渋谷、世田谷、目黒、港、品川、太田)を管轄し、各区民の心の健康づくりの相談を受けたり、地域に向けていろいろな心の健康に関する説明をしたり、公費負担制度、障害者手帳の判定を行なったり、入院中の患者の人権を守るための機関として精神病審査会の事務の他に、就労のための訓練、入居訓練等をしているということでした。
「今年はこの様な障害を持つ方々への福祉サービスの提供の仕方が大幅に変わる節目の年であり、現在、国会で審議中のため、確実なことは説明できないが、法案として出ているのがどんなものかをお話しすることになる。精神科の医師として、精神障害を持った方を対象とした話しをしたい。」と言うことでレジュメに沿ってお話がありました。
法案の最大の狙いは、「身体障害、知的障害、精神障害の3つの障害が縦割りになっている仕組みを何とか共通の仕組みにしたいと言うこと。」です。また、「障害者一人一人に応じた支援を行なう。自立した生活を営むことを支援する。さらに障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重して、安心して暮らすことができる地域社会を作る。」が理念だということです。
狙いや、理念だけを見てみますと大変高邁なものと感じますが、具体的な施策に入っていくと、生活保護を受けられている当事者は別として、被扶養者としての当事者には、いろいろな場面での経費自己負担等を強いられるような雰囲気を感じます。
今年10月からの公費負担医療の見直し(利用者負担の見直し=世帯所得の導入+医療機関の指定制度の導入)、平成18年1月からの新たな支給決定(障害程度区分等)の実施(10月より全市町村で実施)、利用者負担の見直し(介護給付等)、国都道府県の義務的負担化など、この先も福祉に係わる施策がどしどし出てくるようですし、目も離せませんし、気も緩められません。
先生のお話では日本全国で、障害者と言われる方が、身体障害で約400万人、精神障害で約250万人、知的障害で約45万人いると言われているそうですが、入院が33万人、何らかの手帳所有者が35万人、32条該当者が100万人と推定されているとのことです。しかし、どういうサービスを受け、どう利用しているかということは、どの区市町村もこれから把握するそうです。また3障害共通の受付窓口は、保健相談所から社会福祉事務所に移行することになるわけですが、精神障害者の場合は、とりわけ、保健相談所〜福祉〜医療がうまくかみ合っての応援が是非必要であり、5月13日付で、東京都がその旨の提案書を国に出しているとのことです。
今年に入り、2/25(全家連全国大会東京大会)、3/26(東京つくし会平成16年度下期講演会)に続き、今回3度目の「障害者自立支援法」の講演会に出席して、何とか少しずつ理解の度を深めてはいるものの、国、都、区市町村に加え、身体障害、知的障害、精神障害と縦横斜めに絡んだ諸問題を理解するのには並大抵のことではないな、と痛感しております。
しかしながら、全て当事者に、また家族にいろいろと降りかかってくることが出てくるだけに、他人事ではなく最大の関心を持って対処していかねばとも思っております。 (副理事長 佐藤)
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